新nisa 1800万円 ほったらかしシミュレーション|初心者が見落とす出口の数字
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新nisa 1800万円 ほったらかしシミュレーション|初心者が見落とす出口の数字

新NISAの1800万円をほったらかしで埋めたら、結局いくらになるのか」——この問いへの答えは、積立額よりも『何年で埋めるか』と『どう取り崩すか』で大きく変わります

結論から言えば、月5万円を30年続けて65歳時点で年5%想定なら約4,161万円、月30万円で5年集中投資すれば同じ条件で約7,700万円規模になる計算です。ただし前者は途中の含み損が小さく、後者は積立完了直後に3割下落すると数千万円単位の含み損を抱えます。到達額だけを見比べる既存のシミュレーターでは、この差が見えません。

この記事では、金融庁のつみたてシミュレーターが計算に含めない「手数料・税金・インフレ」と、どのツールにもほぼ存在しない「取り崩しフェーズ」を数字で補います。あわせて、令和8年度税制改正大綱(2025年12月)で決まった0〜17歳向けつみたて投資枠や、定期売却サービスの手数料容認といった前提の変化も反映します。

注意

本記事の試算はすべて一定利回りを前提とした単純計算です。実際の運用は年ごとに大きく上下し、元本割れの可能性があります。将来の運用成果を保証するものではありません。

結論:新NISA 1800万円のほったらかしシミュレーションで最初に見るべき数字

最初に決めるべきは「積立額」ではなく「1800万円を何年で埋めるか」と「利回りを何%に置くか」の2つです。この2つで結果はおおむね決まるとされています。

30歳から積立を始め、生涯非課税保有限度額1,800万円を埋めて65歳まで放置した場合の概算は次のとおりです(年率5%・追加投資なしで65歳まで複利運用した場合)。

埋め方毎月積立額満額到達年齢65歳評価額(年5%)
①最短5年30万円35歳約7,700万円
②10年15万円40歳約6,500万円
③15年10万円45歳約5,500万円
④30年5万円60歳約4,161万円

数字だけ見れば「早く埋めるほど有利」ですが、早く埋めるほど、下落局面で抱える含み損の絶対額も大きくなります。後述の比較表では、この含み損耐性と、インフレを差し引いた実質購買力まで含めて並べます。

ポイント

まず押さえる3つ

1. 期間を決める(5年/10年/15年/30年)

2. 利回りは年3%(保守)と年5%(標準)の2本で試算する

3. 出口(何歳から年何%取り崩すか)まで同じ表で考える

新NISAの制度枠は最低限だけ押さえる

制度の要点は3行で足ります。年間投資枠は360万円、生涯枠は1,800万円、非課税期間は無期限です。

  • 年間投資枠360万円=つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円
  • 生涯非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円は内数)
  • 売却した分の枠は「翌年以降・簿価(取得額)ベース」で復活

金融庁「NISAの利用状況」(2026年7月3日公表)によると、NISA口座数は2025年12月末で2,821万口座、買付額は累計71兆円に達しました。政府目標の56兆円(2027年12月末まで)を金額ベースでは2年前倒しで超えた一方、口座数目標3,400万口座には約580万口座届いていません。

補足

制度の細かい解説は金融庁のNISA特設サイトで確認できます。本記事は「制度は分かったが数字が分からない」段階の読者向けに、計算部分を厚くしています。

想定利回りは何%に置くのが妥当?──直近実績をそのまま入れてはいけない理由

想定利回りは何%に置くのが妥当?──直近実績をそのまま入れてはいけない理由

本記事では年3%(保守)と年5%(標準)を既定値とします。直近のオルカン5年年率+19.72%をそのまま入力すると、再現性の低い前提で皮算用をすることになるためです。

これが上位のシミュレーション記事でほぼ触れられていない論点です。「年3%〜5%で計算しましょう」と書かれていても、なぜその数字なのか、直近の実績とどれだけ乖離しているのかは示されていません。

3つの系統で置いた利回りを比べる

利回りの根拠は大きく3系統に分かれます。同じ月5万円×20年(元本1,200万円)でも到達額は別物です。

系統想定年率20年後の到達額(概算)元本1,200万円との差
①直近実績系(オルカン5年年率)19.72%約9,290万円+約8,090万円
②長期実績レンジ・下限2%約1,474万円+約274万円
②長期実績レンジ・中位5%約2,055万円+約855万円
②長期実績レンジ・上限8%約2,942万円+約1,742万円
③実質リターン(5%−CPI1.7%)3.3%約1,706万円+約506万円

①の根拠となるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のトータルリターンは、2026年6月30日基準で1年+38.24%、3年年率+24.55%、5年年率+19.72%です(ウエルスアドバイザー等の運用実績データ)。基準価額は2026年7月28日時点で38,183円。

ただしこの数字には約40年ぶりの円安水準であるドル円163〜164円台(2026年7月)の為替寄与が相当量含まれているとされています。円安が反転すれば、円建てリターンは同じ株価でも縮みます。

注意

直近5年の年率19.72%を30年間の前提として入力すると、月5万円でも数億円という結果が出ます。過去5年の世界的な株高と急速な円安という、同時再現が前提となる条件に依存した数字です。試算の主軸には使わないことをおすすめします。

実質リターン:インフレを引くと数字はどう変わるか

名目利回りからインフレ率を引いた「実質」で見ると、資産の増え方は体感より穏やかになります。

総務省統計局の消費者物価指数(全国2026年6月分、2026年7月24日公表)によると、総合指数は113.6(2020年=100)で前年同月比+1.7%、生鮮食品を除く総合は+1.6%でした。

年5%で運用できても、物価が年1.7%上がるなら実質は約3.3%です。上の表のとおり、20年後の到達額は名目2,055万円に対し実質ベースでは約1,706万円相当の購買力になります。差額の約349万円は「増えたように見えるが買える量は増えていない」部分にあたります。

金融庁のつみたてシミュレーターは「手数料・税金は考慮しておらず、将来の運用結果を予測・保証するものではありません」と明記しています(金融庁 NISA特設ウェブサイト つみたてシミュレーター)。インフレも計算に含まれません。

非課税でも消えないコストを利回りから引く

NISAは国内課税が非課税になる制度であって、コストがゼロになる制度ではありません。手取り利回りの目安は次の式で補正できます。

手取り利回り = 名目利回り − 信託報酬 − (配当利回り × 米国比重 × 現地源泉税10%)

  • 信託報酬:低コストインデックスで年0.05〜0.1%程度、アクティブ型では年0.5%以上のものもあります
  • 外国源泉税:SBI証券の解説(2026年)によると、NISA口座で保有する米国株・米国株ETFの配当には現地で10%が源泉徴収され、国内で非課税であるがゆえに確定申告による外国税額控除が使えません

信託報酬の差は長期で効きます。月5万円×30年・名目5%の場合、信託報酬0.1%の商品なら実質4.9%で約4,076万円、0.5%なら実質4.5%で約3,832万円と、概算で240万円前後の差が生じる計算です。

まとめ

利回りは「年3%と年5%の2本」で試算し、信託報酬と外国源泉税を引いた手取りベースで見る。直近実績の19.72%は参考値にとどめる。

新NISA シミュレーション:1800万円を何年で埋めるかで結果はどう変わる?

最短5年(月30万円)から30年(月5万円)まで、埋める速度で65歳評価額は3,500万円以上変わりますが、同時に途中の含み損の大きさと実質購買力の順位も入れ替わります。

以下は30歳で積立を開始し、1,800万円を埋めた後は追加投資なしで65歳まで運用した場合の比較です。計算式はFV=Σ P×(1+r/12)^(n−k)(P=毎月積立額、r=名目年率、n=総積立月数)で積立期間の終価を求め、以降を複利運用しています。

項目①最短5年②10年③15年④30年
(a)毎月積立額30万円15万円10万円5万円
(b)満額到達年齢(30歳開始)35歳40歳45歳60歳
(c)65歳評価額 年3%約4,300万円約3,900万円約3,600万円約2,900万円
(c)65歳評価額 年5%約7,700万円約6,500万円約5,500万円約4,161万円
(c)65歳評価額 年7%約1億3,700万円約1億800万円約8,600万円約6,100万円
(d)−30%下落時の最大含み損(積立期間中・年5%)約610万円約580万円約540万円約1,250万円※
(e)年4%定率取り崩しの月額(年5%ケース)約25.7万円約21.7万円約18.3万円約13.9万円
(f)(e)をCPI1.7%×30年で割引いた実質月額約15.5万円約13.1万円約11.0万円約8.4万円

※④は満額到達が60歳と遅く、資産規模が最大になる時期が取り崩し開始直前に来るため、下落が最も痛いタイミングと重なりやすい点に注意が必要です。①〜③は積立完了直後の評価額(1,800万〜2,000万円規模)に対する30%として算出しています。

「最短5年が常に有利」とは限らない3つの理由

到達額では①が勝ちますが、実行可能性とリスク耐性を入れると評価は変わります。

  1. 月30万円を5年間続けられる家計は限られます。民間調査(株式会社400F、PR TIMES)では新NISAつみたて投資枠の毎月の積立平均額は58,628円とされており、月5万円前後が実勢に近い水準です。
  2. 一括に近いほど、投資直後の下落の影響を強く受けます。金融庁「長期・積立・分散投資とNISA制度」(2020)によると、1985年以降の国内外の株式・債券への毎月同額積立では、保有期間5年では元本割れのケースが生じたのに対し、保有期間20年では元本割れがなく年率2〜8%に収れんしたと報告されています。
  3. 枠の復活は翌年・簿価ベースです。生活資金が足りなくなって売却しても、その年のうちに枠は戻らず、年間投資枠360万円も同一年内に再利用できません。無理な速度で埋めて途中売却すると、非課税枠の回転が止まります。
ポイント

速く埋めるほど有利なのは「途中で売らず、下落局面で積立も生活も維持できる」場合に限られるとされています。含み損の絶対額に耐えられる金額かどうかを、上の(d)欄で確認してください。

一括投資と積立、どちらのシミュレーションを使うべきか

一括投資は期待値では有利になりやすい一方、タイミングリスクを一点に集中させる方法です。

理論上は、長期で右肩上がりを前提とするなら早く市場に入れるほど複利期間が長くなります。ただし新NISAでは年間360万円という上限があるため、1,800万円を文字通り一括で入れることは制度上できません。最短でも5年に分割されます。

その意味で、新NISAにおける「一括投資シミュレーション」は実質的に「年360万円×5年の高速積立シミュレーション」と読み替えるのが正確です。手元にまとまった資金がある場合は、この5年間の相場変動をどう受け止めるかが判断軸になります。

補足

枠を埋め終えた後も、非課税期間は無期限のため保有を続けられます。「埋めたら終わり」ではなく、埋めた後の放置期間の長さが最終額を左右します。

新NISA 月5万円のシミュレーションは現実的か──原因別の見分け方

月5万円は実勢の平均値(58,628円)に近く、30年で1,800万円を埋めきる設計と整合します。到達額が想定より伸びない主因は、利回り設定・期間・コストの3つに分解できます。

「シミュレーション結果が思ったより少ない」と感じたとき、原因はおおむね次のいずれかです。

原因1:利回りを直近実績で置いていた

最も多いパターンです。オルカンの直近5年年率19.72%や1年+38.24%を入力していれば、現実の年3〜5%との差は数千万円規模になります。前章の3系統比較で、自分がどの系統の数字を入れているか確認してください。

原因2:積立期間を短く見積もっていた

複利は後半で効きます。月5万円・年5%の場合、10年後は約776万円(元本600万円)ですが、30年後は約4,161万円(元本1,800万円)です。元本は3倍でも、増加額は約176万円から約2,361万円へと13倍以上に広がります。期間を5年削ると、削れるのは最も効率の良い後半部分です。

原因3:コストとインフレを引いていなかった

信託報酬0.5%を30年払い続ければ概算240万円前後、CPI1.7%の実質割引を入れれば購買力ベースでさらに目減りします。表示額と使える金額は別物です。

注意

「毎月いくら積み立てれば1,800万円になるか」を逆算するとき、利回りを高く置くほど必要積立額は小さく出ます。年7%で逆算した金額を年3%の現実で走らせると、満額に届かないまま期間が終わる可能性があります。逆算は保守側(年3%)で行い、上振れは余剰として扱うのが安全とされています。

新NISA 取り崩しシミュレーション:何歳まで資産は持つ?

年4%の定率取り崩しなら資産は原則として枯渇しにくい一方、定額取り崩しは開始直後の暴落で資産寿命が大きく縮むとされています。ここが既存シミュレーターの空白地帯です。

主要ツールの多くは「積み上げた額」で計算が終わります。しかし実際に必要なのは、その資産で何歳まで生活できるかです。

定額と定率、暴落が来たときの差

取り崩し開始直後に大きな下落が来ると、同じ平均利回りでも結果が変わります。これはシークエンス・オブ・リターン・リスク(収益率配列のリスク)と呼ばれます。

65歳時点で4,161万円(月5万円×30年・年5%ケース)を保有し、年4%相当を取り崩す場合を比較します。

方式取り崩し額開始直後に−30%が来た場合の挙動
定額取り崩し毎年166万円(月13.9万円)固定資産が2,913万円に減っても166万円を引き出すため、実質引出率が5.7%に上昇。元本の取り崩しが加速し資産寿命が縮む
定率取り崩し毎年残高の4%残高2,913万円×4%=116万円(月9.7万円)に自動減額。資産は減りにくいが生活費が約3割減る
バッファ優先現金から先に支出下落中は投資資産に手を付けず回復を待てる。生活費2年分の現金が目安とされています
ポイント

定率は資産を守り、定額は生活水準を守ります。どちらか一方ではなく「現金バッファ2年分+定率取り崩し」の組み合わせが、生活費の急減と資産寿命の短縮の両方を緩和しやすいとされています。

年金と合わせていくら必要かを逆算する

取り崩し額は、公的年金との差額で決めるのが現実的です。

日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(2026)によると、令和8年度の老齢基礎年金は満額(昭和31年4月2日以降生まれ)で月額70,608円、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金は月額237,279円です(改定率は基礎年金+1.9%、厚生年金+2.0%)。

仮に生活費が月30万円必要なら、標準的な厚生年金世帯で不足は月約6.3万円です。この不足分を埋めるだけなら、年4%定率で必要な資産は約1,890万円程度という逆算になります。月5万円×30年のケース(約4,161万円)は、この水準を上回る計算です。

補足

年金額は世帯構成・加入期間・報酬水準で大きく変わります。ねんきんネット等でご自身の見込額を確認したうえで不足分を計算してください。

取り崩し開始前チェックチャート──5つの分岐で決める

取り崩しを始める前に確認すべきは、現金バッファ・下落時の方式・口座の売却順序・証券会社の売却機能・家族の枠の5点です。順に判定してください。

Q1. 現金バッファは生活費2年分あるか

  • Yes → 年4%の取り崩しを基準にできます
  • No → 取り崩し率を年3%に落とし、バッファを積み上げながら開始することが検討されます

Q2. 取り崩し開始直後に−30%が来たらどうするか

前章の表のとおり、定額・定率・バッファ優先で資産寿命は変わります。開始前にどの方式で行くかを決めておくこと自体が、暴落時の狼狽売りを防ぐ最大の対策とされています。

Q3. 課税口座も併用しているか

  • Yes → 一般的には課税口座から先に売却し、非課税のNISA口座を最後まで残す方が、非課税の複利期間を長く取れるとされています
  • No → NISA内で定率取り崩しを設計します

Q4. 使っている証券会社の定期売却方式は何か

定期売却サービスの仕様は会社ごとに異なります。

証券会社指定方式定率戦略の自動化
楽天証券金額指定・定率指定(0.01%単位)・期間指定の3方式定率を自動化しやすい
SBI証券金額指定のみ定率にするには残高を見て手動で金額変更が必要

(出典:楽天証券 定期売却サービス取引ガイド/SBI証券 FAQ)

Q5. 2027年以降に子どもがいるか

金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」(2025年12月)によると、令和9年(2027年)からつみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0〜17歳に年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円が設定されます。18歳到達時には成人の1,800万円枠へ自動的に移行します。

ただし流動性には制約があります。12歳以降は子の同意を示す書面と親権者等の申出書提出により払出しが可能とされており、12歳未満の期間は原則として払い出せない資金になります。教育費の使用時期と重ならないか確認が必要です。

注意

同大綱では、つみたて投資枠について「定期売却サービスに限り、サービスに通常必要と認められる手数料の徴収を可能とする」措置が明記されました(金融庁、2025年12月)。取り崩しを制度側が正面から想定し始めた最初の改正である一方、将来的に定期売却が有料化される可能性を意味します。取り崩し計画にはこのコスト変動を織り込んでおくのが無難です。

2026年の制度変更でシミュレーションの前提はどう変わる?

令和8年度税制改正大綱(2025年12月)により、家族単位の非課税枠は最大で子ども1人あたり600万円増える一方、金融庁が要望した「枠の当年中復活」は見送られました。

前提が変わる点は3つです。

  1. 家族単位の枠が増える(2027年〜):0〜17歳つみたて投資枠が年60万円・上限600万円で新設。夫婦1,800万円×2+子1人600万円なら、世帯合計4,200万円の非課税枠という設計も可能になります
  2. 取り崩しにコストが乗りうる:定期売却サービスの手数料徴収が容認され、出口の実質コストが上がる可能性があります
  3. 選べる商品の幅が広がる:つみたて投資枠の指定株式指数に読売株価指数とJPXプライム150指数が追加。さらに指定指数に連動しない公募株式投信の要件が「主に株式に投資するもの」から「主に株式又は公社債に投資するもの」へ変更され、債券中心・バランス型が入りやすくなります。想定利回りの選択肢が広がる一方、株式100%より期待リターンは低くなる傾向があります

一方で、枠の当年中復活は見送られました。金融庁が2025年8月の税制改正要望で掲げた「非課税保有限度額の当年中の復活」は大綱に盛り込まれず、売却枠の復活は引き続き「翌年以降・簿価(取得額)ベース」のままです。年間投資枠360万円を同一年内に再利用することはできません。

まとめ

2027年以降は「家族単位で枠を最大化する」設計余地が生まれます。ただし子ども名義分は12歳未満の払出し制限があり、流動性は低い枠です。出口では定期売却の手数料化リスクを見込んでおきます。

やってはいけないNG対応

最も避けたいのは、直近の高リターンを前提に必要積立額を逆算し、下落局面で積立を止めて売却することです。

  • NG1:直近実績の年率をそのまま長期前提にする — オルカン5年年率19.72%は円安163〜164円という条件を含みます。同条件の継続を前提にした計画は崩れやすくなります
  • NG2:シミュレーション結果を確定額として生活設計に組み込む — 金融庁のツールも「将来の運用結果を予測・保証するものではない」と明記しています
  • NG3:下落時に積立を停止する — 保有期間5年では元本割れのケースが生じる一方、20年では年率2〜8%に収れんしたとされています(金融庁、2020)。停止は長期化による収れんの効果を自ら手放す行為になります
  • NG4:生活防衛資金までNISAに入れる — 売却しても枠は翌年まで戻りません。急な支出は枠の回転を止めます
  • NG5:手数料・外国源泉税を無視した総額で比較する — 信託報酬0.5%と0.1%の差は30年で概算240万円前後、米国株配当には現地10%の源泉税がかかりNISAでは取り戻せません
注意

特に注意したいのは、取り崩し開始直後の下落局面で「定額のまま引き出し続ける」ことです。実質引出率が上がり、資産寿命が想定より短くなる可能性があります。

専門家・公的情報の見解

公的情報は一貫して「長期・積立・分散」と「シミュレーションは保証ではない」の2点を示しています。数値の出どころを確認しておくことが、過度な期待と過度な不安の両方を避ける助けになります。

1985年以降、国内外の株式・債券に毎月同額を積立投資した場合、保有期間5年では元本割れ(マイナス)のケースが生じるが、保有期間20年では元本割れがなく年率2〜8%に収れんした。(金融庁「長期・積立・分散投資とNISA制度」2020年)

つみたてシミュレーターは「将来いくらになる?」「毎月いくら積み立てる?」「何年間積み立てる?」の3モードで、毎月の積立金額・想定利回り(年率)・積立期間の3項目のみを入力する。手数料・税金は計算に含まれず、将来の結果を予測・保証するものではない。(金融庁 NISA特設ウェブサイト つみたてシミュレーター、2026年)

つまり、公式ツールの数字は「制度と複利の骨格」を示すものであり、手数料・税金・インフレを引いた手取りは利用者側で補正する必要があります。本記事の各表は、その補正を数値化したものです。

ポイント

公式ツールで骨格を出す → 信託報酬と外国源泉税を引く → CPI1.7%で実質に直す → 取り崩し方式を決める。この4ステップで、表示額と使える金額の差を埋められます。

まとめ:次にやること

新NISA 1800万円のほったらかしシミュレーションは、「何年で埋めるか」「利回りを何%に置くか」「どう取り崩すか」の3点を決めれば、自分の数字として出せます。

  1. 期間を決める — 家計の実力に合わせて5年/10年/15年/30年から選ぶ。実勢の平均積立額は月58,628円程度です
  2. 利回りは年3%と年5%の2本で出す — 直近のオルカン年率19.72%は参考値にとどめます
  3. 手取りに補正する — 信託報酬と米国株配当の現地源泉税10%を引き、CPI1.7%で実質化します
  4. 出口を先に決める — 現金バッファ2年分を用意し、定率か定額かを取り崩し開始前に決めます
  5. 公式ツールで検算する — 金融庁つみたてシミュレーターや各証券会社のツールで骨格の数字を確認します
まとめ

到達額の大小より、下落に耐えられる設計かどうかが結果を分けるとされています。入口(埋める速度)と出口(取り崩し方式)を1本の年表でつないで考えてください。

よくある質問

Q1. 新NISAのシミュレーションはどのツールを使えばよいですか?

まずは金融庁のつみたてシミュレーターで骨格を確認するのが基本とされています。 毎月の積立金額・想定利回り・積立期間の3項目のみで計算でき、「将来いくらになる?」「毎月いくら積み立てる?」「何年間積み立てる?」の3モードから逆算もできます。ただし手数料・税金・インフレは計算に含まれないため、本記事の補正式で手取りに直してください。

Q2. 新NISAの1800万円は最短何年で埋められますか?

最短5年です。 年間投資枠が360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)のため、毎月30万円×60か月で1,800万円に到達します。ただし年360万円を5年続けられる家計は限られ、積立完了直後に3割下落すれば600万円規模の含み損を抱える計算になります。到達額だけでなく含み損への耐性で判断してください。

Q3. 新NISAの取り崩しシミュレーションはどう考えればよいですか?

「定率4%」を基準に、現金バッファ2年分と組み合わせるのが一つの目安とされています。 定率なら残高に応じて引出額が自動で減るため資産は枯渇しにくく、定額は生活水準を保てる反面、下落直後は実質引出率が上がり資産寿命が縮みます。楽天証券は定率指定(0.01%単位)に対応し、SBI証券は金額指定のみのため、定率戦略は証券会社の機能も確認が必要です。

Q4. 新NISAの一括投資シミュレーションはできますか?

制度上、1,800万円を一括投入することはできません。 年間投資枠が360万円のため、最短でも5年に分割されます。したがって新NISAの「一括投資シミュレーション」は、実質的に年360万円×5年の高速積立の試算になります。まとまった資金がある場合は、この5年間の相場変動をどう受け止めるかが判断軸です。

Q5. 月5万円の積立で老後資金は足りますか?

年5%想定・30年積立なら65歳時点で約4,161万円、年4%定率取り崩しで月約13.9万円という計算になります。 日本年金機構(2026)によると令和8年度の標準的な厚生年金は夫婦2人で月237,279円のため、合計で月約37万円規模です。ただしCPI1.7%で30年分割り引くと実質の月額は約8.4万円相当になるため、インフレ後の購買力で確認することをおすすめします。

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最終確認日:2026年7月29日

本記事は公表資料に基づく一般的な情報提供であり、特定の商品の推奨や投資助言ではありません。試算はすべて一定利回りを前提とした概算で、実際の運用成果を示すものではなく、元本割れの可能性があります。税制の取扱いや制度内容は改正される場合があります。具体的な投資判断・税務判断にあたっては、金融庁や国税庁等の公的情報の原典をご確認のうえ、必要に応じてファイナンシャル・プランナーや税理士等の専門家にご相談ください。

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