まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論(まず何をすべきか)
| 基準価額(1万口あたり) | 3万円で買える口数 |
|---|---|
| 10,000円 | 30,000口 |
| 8,000円(20%下落) | 37,500口 |
| 6,000円(40%下落) | 50,000口 |
主な原因を深掘り:暴落はなぜ起きるのか

| タイプ | 代表例 | 最大下落率の目安 | 回復までの目安 |
|---|---|---|---|
| 金融システム危機型 | リーマンショック(2008年) | 50%超 | 約4〜5年 |
| パンデミック・災害型 | コロナショック(2020年) | 約34% | 約半年 |
| 金融引き締め型 | 世界的インフレと利上げ(2022年) | 約25% | 約1〜2年 |
| 地政学・政治型 | 各地の紛争、貿易摩擦など | 10%前後が多い | 数週間〜数カ月 |
補足
過去約100年の米国市場では、20%以上の下落(弱気相場)はおおむね数年に一度の頻度で発生してきたとされています。長期のつみたて投資では、暴落は「例外」ではなく「必ず通る道」として設計に織り込むのが現実的です。
原因別の見分け方:一時的な調整か、構造的な問題か
- 主要指数と自分のファンドの下落率を比べる:全世界株指数(MSCI ACWIなど)やS&P500の下落率と、自分のファンドの下落率を比較します。証券会社アプリやファンドの月次レポートで確認できます。
- 下落の「深さ」を段階で捉える:市場では一般的に、高値から10%程度の下落を「調整」、20%以上を「弱気相場」と呼びます。10%程度の下落は年1回程度は起こり得る日常的な変動とされています。
- 自分のファンドだけ大きく下がっていないか確認する:市場平均が▲15%なのに自分のファンドが▲40%なら、テーマ集中や特定国への偏りなど商品固有の要因を疑います。
- ファンドの純資産総額の推移を見る:純資産が急減し続けているファンドは、繰上償還(強制終了)のリスクも考慮する必要があるとされています。
| 状況 | 性質 | 基本スタンス |
|---|---|---|
| 指数も自分のファンドも同程度下落 | 市場全体の調整・暴落 | 積立継続が基本 |
| 自分のファンドだけ大幅に下落 | 商品固有の問題の可能性 | 商品の見直しを検討 |
| 純資産総額が継続的に急減 | 繰上償還リスク | 乗り換えの検討余地 |
注意
商品を乗り換える場合でも、保有分を慌てて全売却する必要はありません。「今後の積立先だけ変更し、保有分は相場が落ち着いてから判断する」という段階的な方法もあります。売却タイミングの判断には、後述する新NISAの非課税枠の扱いも関わります。
具体的な解決方法:暴落時にやるべき5ステップ
- 生活防衛資金を確認する:生活費の3〜6カ月分(目安として単身なら50万〜100万円、家族がいれば100万〜300万円程度)の現金が投資と別にあるか確認します。足りない場合は、積立を止めるのではなく積立額を一時的に減らして現金を貯める方が、積立の習慣を保てるとされています。
- 積立設定には手を触れない:金額・銘柄・頻度をそのままにします。「下がりきってから再開しよう」と考えたくなりますが、底のタイミングを事前に当てることは専門家でも困難とされており、待っている間に安く買える機会を逃すリスクがあります。
- 口座を見る頻度を減らす:毎日見ると不安が増幅されます。行動経済学では、人は利益の喜びより損失の苦痛を2倍程度強く感じる(損失回避性)とされており、頻繁な確認は狼狽売りの引き金になり得ます。確認は月1回、積立日だけと決めるのが実践的です。
- 余裕資金があればスポット購入を「検討」する:生活防衛資金とは別の余裕資金がある場合、下落局面での追加購入は平均取得単価を下げる効果が期待できます。ただし、そこからさらに下がる可能性は常にあり、一度に投じず2〜3回に分けるなどの工夫が無難とされています。無理は禁物です。
- 年1回のリバランスは予定どおり行う:株式と債券など複数資産で運用している場合、暴落で崩れた比率を年1回など決めたタイミングで元に戻します。結果的に「下がった資産を買い、上がった資産を売る」逆張りが機械的に実行できます。
ケース別の対処:年代・投資期間・商品構成でこう変わる
| ケース | 基本方針 | 補足 |
|---|---|---|
| 20〜30代前半・使う予定は10年以上先 | 積立継続(余裕があれば増額も検討) | 回復を待てる時間が最大の武器 |
| 30〜40代・5年以内に教育費など使う予定がある | 使う予定の資金分は現金・預金へ退避 | 「時期が決まったお金」は株式に置かない |
| 投資開始1年以内で含み損になった | 継続。口数を貯める時期と捉える | 元本が小さい今の下落は金額も小さい |
| 50代以降・取り崩し開始が近い | 株式比率の引き下げを検討 | 債券・現金の比率を高める選択肢 |
| テーマ型・個別株に集中している | 積立先を分散型インデックスへ変更を検討 | 保有分は段階的に判断 |
注意
上記はあくまで一般的な整理であり、家族構成・収入の安定性・性格によって最適解は変わります。特に50代以降の配分変更は金額が大きく影響も大きいため、後述のとおり中立的な専門家への相談も選択肢に入れてください。
予防・再発防止のコツ:次の暴落が来る前に整えること
- 下落率シミュレーションをしておく:「資産500万円で35%下落なら▲175万円」と金額で想像し、耐えられる株式比率を逆算します。金額で見ると、%で見るより自分の本当のリスク許容度が分かります。
- リスク許容度に合った資産配分にする:目安の一つに「株式比率=100−年齢」という考え方があります(30歳なら株式70%)。あくまで目安であり、収入の安定性や性格で調整します。
- 投資方針書(マイルール)を書く:「20%下落しても売らない」「積立変更は暴落から3カ月経ってから」「情報源は月次レポートと公的資料のみ」など、A4半分で構いません。暴落時に読み返す前提で、平時の自分から未来の自分への手紙として書いておきます。
- 積立額は「10年使わないお金」の範囲に収める:積立額が家計に対して大きすぎると、下落時の心理的負担が耐えられなくなります。無理なく続く金額が結局いちばん増やせる、というのが積立投資の逆説です。
- 投資先を広く分散する:特定国・特定テーマへの集中を避け、全世界株式型などへ分散することで、一部地域の長期低迷リスクを緩和できるとされています。
- 見ない仕組みをつくる:相場アプリの通知をオフにする、証券アプリをホーム画面の奥に移す、といった環境設計は地味に効果的です。
専門家・公的情報の見解:長期・積立・分散のエビデンス
保有期間5年では運用成果がマイナスになるケースも見られる一方、保有期間20年では投資収益率が年率2〜8%程度に収れんし、元本割れとなるケースは見られなかった(金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」等より要旨。過去の実績に基づくものであり、将来の成果を保証するものではありません)。
補足
公的資料はあくまで過去データに基づく説明であり、将来を保証するものではありません。ただし「個人の体験談」や「SNSの相場観」よりは、はるかに検証可能で信頼に足る情報源です。判断の土台には一次情報を置くことをおすすめします。
やってはいけないNG対応:暴落時の典型的な失敗
- 狼狽売り(全売却):2020年3月の安値で売却した場合、S&P500ではその後約半年で訪れた回復をすべて取り逃したことになります。下落は「確定させなければ含み損」ですが、売れば実損になります。
- 積立の停止:「落ち着いたら再開しよう」は、安く買える期間だけ買わず、高くなってから買い直す行動になりがちです。ドルコスト平均法の利点を自ら手放すことになります。
- レバレッジ型商品や信用取引での一発逆転:下落を短期で取り返そうとレバレッジ型投信や信用取引に手を出すのは、リスク許容度を超えた行動とされています。レバレッジ型は横ばい相場でも価値が減衰しやすい構造があり、長期積立には不向きと金融庁も注意喚起しています。
- SNS・動画の極端な情報で判断する:暴落時は「まだ半分も下がる」「今が世紀の買い場」といった極端な発信が増えます。どちらも根拠は薄く、不安を煽るコンテンツほど拡散されやすい構造があることを踏まえ、判断材料は公的資料と運用会社の月次レポートに絞るのが賢明です。
- 生活資金や借入での買い増し:「安いから」と生活防衛資金やカードローンまで投入するのは、下落が長引いた場合に生活破綻に直結します。買い増しは余裕資金の範囲が鉄則です。
- 頻繁な乗り換え(回転売買):「もっと下がりにくい商品へ」と暴落中に次々乗り換えると、そのたびに安値売りを繰り返す結果になりがちです。
注意
唯一、積立の減額・停止を検討してよいのは「生活資金が不足している」「収入が途絶えた」など家計側に理由がある場合です。相場を理由にした停止と、家計を理由にした調整は、似て非なるものとして区別してください。
よくある質問
最終確認日:2026年7月3日




