確定申告のやり方は、大きく分けて「①自分が対象か確認 → ②必要書類を集める → ③申告書を作成する → ④提出する → ⑤納税または還付を受ける」の5ステップで完了します。会社員でも、副業・ふるさと納税・医療費控除などで申告が必要、または申告した方が有利になるケースがあり、初めてでも順番どおり進めれば決して難しくありません。
この記事では、必要書類のチェックリストから、スマホやe-Taxを使った提出方法、初心者がつまずきやすいポイント、副業・フリーランス・医療費控除の具体例まで、一気通貫で解説します。読み終えるころには「何を・いつ・どうやればよいか」が自分の状況に当てはめて分かるはずです。
税制は毎年のように改正されます。基礎控除や各種控除の金額・要件は変わることがあるため、最終的な金額や対象の判断は、国税庁の公式サイトや税務署、税理士など専門家への確認をおすすめします。本記事の数値は一般的な目安として参考にしてください。
結論:確定申告のやり方は5ステップ。まず全体の流れをつかむ
確定申告のやり方は「対象確認→書類集め→作成→提出→納税・還付」の5ステップで進むと理解すれば全体像がつかめます。まず流れを俯瞰してから個別作業に入るのが、迷わないコツとされています。
細かい作業に入る前に、全体マップを頭に入れておきましょう。下の表が確定申告の基本的な流れです。
| ステップ | やること | 主な所要時間の目安 | いつやる |
|---|---|---|---|
| ① 対象確認 | 自分に申告義務・申告メリットがあるか確認 | 30分〜1時間 | 1月以降、早めに |
| ② 書類集め | 源泉徴収票・控除証明書・帳簿などを準備 | 数日〜数週間 | 12月〜2月 |
| ③ 作成 | 申告書を作成し税額を計算 | 1〜3時間 | 2月以降 |
| ④ 提出 | e-Tax・郵送・窓口のいずれかで提出 | 10分〜1時間 | 2月16日〜3月15日が原則 |
| ⑤ 納税・還付 | 納税、または還付金を受け取る | 数分〜数週間 | 提出後 |
確定申告の対象は、原則として1月1日から12月31日までの1年間の所得です。その申告・納税を、一般的に翌年の「2月16日から3月15日まで」に行います。曜日の関係で期限が後ろにずれる年もあるため、毎年の正確な日程は国税庁の案内で確認すると安心です。
ポイントは、5ステップのうち最も時間がかかるのは「②書類集め」だという点です。源泉徴収票や控除証明書は年末から郵送で届くものが多く、紛失すると再発行に時間がかかります。逆に、書類さえ揃えば、③作成と④提出は会計ソフトや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば短時間で終わることも珍しくありません。
まず「自分は申告が必要か・した方が得か」を見極め、次に「書類を早めに揃える」。この2つを押さえれば、確定申告の大半は終わったようなものです。作成・提出は後半の作業に過ぎません。
還付申告(払いすぎた税金を返してもらう申告)の場合は、対象年の翌年1月1日から5年間提出できるとされています。医療費控除やふるさと納税のためだけに申告する会社員は、3月15日を過ぎても申告できるケースが多いので、慌てる必要はありません。ただし副業所得などで納税義務がある場合は期限が決まっているため、混同しないよう注意しましょう。
そもそも確定申告とは?必要な人・不要な人を見分ける

確定申告とは、1年間の所得と税額を自分で計算し、税務署に申告・納税する手続きを指します。会社員は年末調整で完結する人が多い一方、副業や一定の収入がある人は申告が必要になるとされています。
会社員の多くは、勤務先が毎月の給与から所得税を天引き(源泉徴収)し、年末調整で1年分の税額を精算してくれます。このため、給与以外に大きな収入がなければ、自分で確定申告をする必要は基本的にありません。一方、個人事業主やフリーランス、副業をしている人などは、自分で所得を計算して申告する必要が出てきます。
申告が必要になりやすい主なケースを整理します。
| ケース | 申告の要否(一般的な目安) |
|---|---|
| 個人事業主・フリーランス | 所得が一定額(基礎控除など)を超えれば必要 |
| 給与年収2,000万円超の会社員 | 年末調整の対象外のため必要 |
| 副業の所得が年20万円超の会社員 | 所得税の確定申告が必要とされる |
| 2か所以上から給与をもらっている | 必要になる場合が多い |
| 公的年金等の収入が一定額超 | 必要になる場合がある |
| 医療費控除・寄附金控除などを受けたい | 義務ではないが、申告すると還付の可能性 |
年末調整と確定申告は、どちらも「1年分の所得税を正しく精算する」点では同じですが、年末調整は勤務先が行い、確定申告は自分で行うという違いがあります。年末調整では扱えない医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税を含む)・初年度の住宅ローン控除などは、確定申告でしか反映できないとされています。
「副業の所得20万円以下なら何もしなくてよい」と誤解されがちですが、これは所得税の確定申告が不要というだけです。住民税については20万円以下でも申告が必要になるケースが一般的とされており、お住まいの市区町村での手続きが別途必要になる場合があります。
ここで重要なのが「収入」と「所得」の違いです。所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額を指します。たとえば副業で30万円の売上があっても、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、20万円以下の判定になる可能性があります。申告要否は「収入」ではなく「所得」で判断する点を押さえておきましょう。
申告義務があるのに申告しない「無申告」は、後述する加算税・延滞税の対象になることがあります。判断に迷う場合は、自己判断で「不要」と決めつけず、税務署の電話相談センターや税理士に確認することをおすすめします。
始める前の準備:必要書類チェックリストと揃え方
確定申告を始める前に、本人確認書類・収入の書類・控除の書類・振込口座の4種類を揃えるのが先決です。書類が不足すると作成が途中で止まるため、最初にまとめて準備するのが効率的とされています。
準備するものは大きく4グループに分けられます。下のチェックリストで、自分に必要なものを確認しましょう。
1. 本人確認・基本情報
- マイナンバーカード(または通知カード+運転免許証などの本人確認書類)
- e-Taxを使う場合はマイナンバーカード対応スマートフォン、またはICカードリーダー
2. 収入を証明する書類
- 給与所得の源泉徴収票(会社員・パートなど)
- 報酬の支払調書や取引先からの支払明細(フリーランスなど)
- 売上・経費の集計(帳簿、請求書、領収書、レシート)
- 公的年金等の源泉徴収票(年金受給者)
3. 控除を受けるための証明書
- 生命保険料・地震保険料の控除証明書
- 国民年金・国民健康保険などの社会保険料の支払額が分かるもの
- iDeCo(小規模企業共済等掛金)の控除証明書
- 医療費の領収書・医療費通知(医療費控除を受ける場合)
- 寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書(ふるさと納税など)
- 住宅ローンの年末残高証明書(住宅ローン控除を受ける場合)
4. 還付金の受取口座
- 本人名義の銀行口座番号が分かるもの
| 書類 | 主な入手先 | 届く・取得できる時期の目安 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 勤務先 | 12月〜1月 |
| 各種控除証明書 | 保険会社・年金機構など | 10月〜11月ごろ郵送 |
| 医療費通知 | 健康保険組合など | 1月〜2月 |
| 寄附金受領証明書 | 寄附先自治体 | 寄附後〜翌年1月 |
控除証明書は秋ごろに郵送されるものが多く、確定申告の時期には「どこにしまったか分からない」となりがちです。届いたら確定申告用のクリアファイルに一括保管しておくと、書類集めの手間が大きく減ります。
紛失してしまった場合でも、再発行に対応してくれる発行元が多いとされています。源泉徴収票は勤務先、控除証明書は保険会社などに早めに連絡しましょう。再発行には数日〜数週間かかることがあるため、期限直前ではなく余裕をもって動くのが安全です。
医療費控除を受ける場合は、領収書の提出は不要でも「医療費控除の明細書」の作成が必要とされています。健康保険組合が発行する医療費通知を使うと、明細の入力を簡略化できる場合があります。なお、領収書は提出しなくても、一定期間(一般的に5年間)自宅で保管する必要があるとされている点に注意してください。
e-Taxをマイナンバーカードで利用する場合、事前にマイナポータルとの連携設定をしておくと、控除証明書などのデータを自動取得できる仕組みが整いつつあります。対応状況は年々変わるため、利用前に最新の対応範囲を確認すると入力の手間を減らせます。
確定申告のやり方を5ステップで詳しく解説
確定申告の実作業は「①対象確認 ②書類集め ③作成 ④提出 ⑤納税・還付」の順に進めます。特に③作成は国税庁の作成コーナーや会計ソフトを使えば、画面の案内に沿って入力するだけで税額が自動計算されます。
ここからは各ステップを具体的に見ていきます。前半(①②)は前章までで触れたため、ここでは特に作成・提出・納税に重点を置いて解説します。
ステップ1:自分が対象か確認する 前章のチェックで、申告義務があるか、または申告した方が得かを確認します。「義務はないが還付の可能性がある」ケースも多いため、医療費が10万円を超えた年やふるさと納税をした年は、申告を検討する価値があります。
ステップ2:必要書類を集める チェックリストに沿って4グループの書類を揃えます。所得区分(給与所得・事業所得・雑所得など)ごとに必要なものが変わるため、自分の収入がどの区分に当たるかを確認しておくとスムーズです。
ステップ3:申告書を作成する 作成方法は主に次の3つです。
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作る(無料・画面案内に沿って入力)
- 会計ソフト(クラウド型など)で作る(日々の記帳から自動連携)
- 手書きで申告書に記入する(紙の様式に記入)
初心者には、計算を自動でしてくれる1または2が一般的におすすめとされています。手順としては、(a)収入金額を入力 →(b)経費を入力(事業所得などの場合)→(c)各種控除を入力 →(d)税額が自動計算される、という流れです。控除の入力漏れは税額を直接押し上げるため、控除証明書を見ながら一つずつ確実に入力しましょう。
ステップ4:提出する 提出方法は次の3つです。
| 提出方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| e-Tax(電子申告) | 24時間提出可・還付が早い傾向・添付省略可の書類あり | スマホ/PCで完結させたい人 |
| 郵送 | 税務署に行かず提出可・控えに受付印は原則なし | 紙で残したい人 |
| 窓口持参 | その場で相談できる・混雑する時期がある | 対面で確認したい人 |
e-Taxはマイナンバーカード方式やID・パスワード方式で利用でき、自宅から提出が完結します。青色申告特別控除を最大額にするにはe-Taxでの提出などが要件とされており、節税の観点でも電子申告は選ばれやすくなっています。
ステップ5:納税または還付を受ける 納める税金がある場合は、原則3月15日(土日の場合は翌平日)までに納付します。納付方法は、振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付・窓口納付など複数から選べます。一方、税金を払いすぎていた場合は還付金が指定口座に振り込まれ、e-Taxだと比較的早く処理される傾向があるとされています。
「振替納税」を選ぶと、口座から自動引き落としになり、引き落とし日が現金納付の期限より後ろにずれる仕組みがあります。資金繰りに少し余裕が生まれるため、納税額が大きい個人事業主には検討の価値があります。
クレジットカード納付やコンビニ納付には、決済手数料や利用上限が設けられている場合があります。納税額が大きいときは手数料総額を事前に確認し、振替納税など手数料のかからない方法と比較して選ぶと無駄がありません。
つまずきやすいポイントと対処法
確定申告でつまずく原因の多くは「収入と所得の混同」「控除の入力漏れ」「経費の線引き」「e-Taxの初期設定」に集約されます。先に落とし穴を知っておけば、ほとんどは回避できます。
初心者が特に迷いやすいポイントを、対処法とセットで見ていきましょう。
1. 収入と所得を混同してしまう 前述のとおり、所得は「収入−必要経費」です。申告要否の判定や控除の計算は所得をベースに行うため、ここを取り違えると税額が大きくずれます。会計ソフトを使うと自動で区別してくれるため、不安な場合はツールに任せるのが安全です。
2. 受けられる控除を入力し忘れる 社会保険料控除、生命保険料控除、iDeCoの掛金、ふるさと納税、医療費控除などは、入力しなければ反映されません。控除は税金を減らす効果が直接あるため、漏れは損につながります。手元の控除証明書を一覧化し、一つずつチェックしながら入力しましょう。
3. 経費にできるか迷う 事業所得の経費は「事業に直接必要な支出か」が基準とされています。自宅兼事務所の家賃や通信費のように、私用と事業用が混在する費用は、事業で使う割合分だけを経費にする「家事按分」という考え方があります。按分の根拠(使用面積・使用時間など)を説明できるようにしておくと安心です。
| よく迷う支出 | 経費にできるか(一般的な考え方) |
|---|---|
| 自宅兼事務所の家賃 | 事業使用分を家事按分して計上可とされる |
| プライベートも使うスマホ代 | 事業使用割合分のみ計上可とされる |
| 取引先との会食 | 事業に関係する範囲で接待交際費になり得る |
| 完全に私用の買い物 | 経費にできない |
4. e-Taxの初期設定でつまずく マイナンバーカードの読み取りエラーや、利用者識別番号の取得でつまずく人が一定数います。スマホのNFC読み取り位置を変える、ブラウザを推奨環境に合わせる、といった基本的な対処で解決することが多いとされています。どうしても進まない場合は、ID・パスワード方式への切り替えや、税務署での対面サポートも選択肢です。
締切直前はe-Taxへのアクセスが集中し、つながりにくくなることがあります。提出は期限ぎりぎりではなく、数日の余裕をもって行うのが安全です。万一の不具合でも、早めなら別の提出方法に切り替える余裕が生まれます。
住民税は確定申告のデータが市区町村に連携され、別途申告しなくても反映されるのが一般的です。ただし、所得税で申告不要だった副業所得などは、住民税側で別に申告が必要なケースがあります。「所得税はOKでも住民税はどうか」を意識すると漏れを防げます。
効率化・応用のコツ:ツール活用と控除のフル活用
確定申告を効率化する近道は、会計ソフトとe-Taxを組み合わせ、使える控除をもれなく適用することです。日々の記帳を自動化し、控除を最大化すれば、手間と税負担の両方を抑えられるとされています。
毎年の負担を軽くするための実践的なコツを紹介します。
1. クラウド会計ソフトで記帳を自動化する 銀行口座やクレジットカードを連携させると、取引データが自動で取り込まれ、仕訳の手間が大きく減ります。確定申告の直前にまとめて作業するのではなく、毎月少しずつ記帳しておくと、期末に慌てずに済みます。費用は月額・年額のプランが一般的で、節約できる時間と比較して導入を検討するとよいでしょう。
2. 青色申告で控除を上乗せする(事業所得などの場合) 個人事業主が事前に「青色申告承認申請書」を提出して複式簿記で記帳すると、最大65万円の青色申告特別控除を受けられるとされています(e-Tax提出などの要件あり)。白色申告に比べて記帳の手間は増えますが、会計ソフトを使えば負担は軽減できます。
| 項目 | 白色申告 | 青色申告(65万円控除) |
|---|---|---|
| 記帳方法 | 簡易な記帳 | 複式簿記 |
| 特別控除 | なし | 最大65万円(要件あり) |
| 事前申請 | 不要 | 必要(承認申請書) |
| 手間 | 少なめ | 多め(ソフトで軽減可) |
3. スマホだけで完結させる 給与所得+ふるさと納税や医療費控除といった比較的シンプルなケースでは、スマホとマイナンバーカードだけで申告を完結できる仕組みが整ってきています。源泉徴収票の内容を撮影・読み取りで入力できる機能もあり、PCがなくても申告は可能です。
4. 控除の取りこぼしをなくす iDeCo(掛金が全額所得控除)、医療費控除、ふるさと納税、扶養控除など、適用できる控除を一覧で確認しておきましょう。控除は知っている人だけが得をする仕組みとも言われます。自分が使える制度を年に一度棚卸しすると、無理のない範囲で税負担を抑えられます。
ふるさと納税は、寄附先が5自治体以内で他に申告事由がなければ「ワンストップ特例」で確定申告が不要になります。ただし、医療費控除などで確定申告をする年は、ワンストップ特例が無効になり、寄附分も確定申告で申告し直す必要がある点に注意しましょう。
効率化ツールは便利ですが、入力結果が正しいかの最終チェックは自分の責任です。特に控除の適用要件は人によって異なるため、自動判定を過信せず、金額が大きい控除は要件を一度自分でも確認すると安心です。
注意点・リスク:期限・罰則・誤りへの備え
確定申告で最も注意すべきは「期限遅れ」と「無申告・過少申告」によるペナルティです。申告や納税が遅れると加算税・延滞税が課されることがあり、本来より多く支払う結果になりかねません。
YMYL(お金に直結するテーマ)である以上、リスクの理解は欠かせません。主な注意点を整理します。
1. 期限遅れのペナルティ 申告期限を過ぎると「無申告加算税」、納付が遅れると「延滞税」が課される場合があるとされています。延滞税は納付が遅れた日数に応じて増えるため、納税資金が足りない場合でも、まずは期限内に申告だけは済ませることが推奨されます。
| ペナルティ | 課されるケース(一般的な説明) |
|---|---|
| 無申告加算税 | 期限までに申告しなかった場合 |
| 延滞税 | 納付が法定期限より遅れた場合 |
| 過少申告加算税 | 申告額が本来より少なかった場合 |
| 重加算税 | 仮装・隠ぺいなど悪質と判断された場合 |
2. 申告内容の誤りへの対応 提出後に誤りに気づいた場合は、税額を多く申告しすぎていたなら「更正の請求」、少なく申告していたなら「修正申告」という手続きで訂正できます。誤りに自分で早く気づいて対応するほど、ペナルティが軽くなる傾向があるとされています。気づいたら放置せず、早めに対応しましょう。
3. 副業と勤務先の関係 副業の所得があると、住民税の額を通じて勤務先に副業が把握される可能性が話題になります。住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にできる場合がありますが、自治体や所得区分によって扱いが異なるため、気になる場合は事前に市区町村へ確認するのが確実です。
「少額だからバレない」「経費を多めに計上しても分からない」といった考えは避けるべきです。税務署はさまざまなデータを照合しており、不適切な申告は後日の調査につながるおそれがあります。誇張や隠ぺいではなく、根拠を残した正確な申告が、結果的に最も安全でコストが低い方法です。
リスク回避の要点は3つです。①期限内に申告する、②控除や経費は根拠を残して正確に計上する、③誤りに気づいたら早めに修正する。この3点を守れば、ペナルティの多くは避けられます。判断に迷う場合は、自己判断せず税務署や税理士に相談しましょう。
具体例・ケーススタディ:自分の状況に当てはめる
確定申告のやり方は、立場によって必要な書類や論点が変わります。ここでは「副業会社員」「フリーランス」「医療費控除を受ける人」の3パターンで、流れと注意点を具体的に確認します。
自分に近いケースを参考に、何を準備すればよいかをイメージしてみてください。
ケース1:副業をしている会社員(Aさん) Aさんは本業の給与のほかに、休日のWebデザイン副業で年間40万円の売上、経費10万円(ソフト代・通信費など)があるとします。所得は40万円−10万円=30万円で、20万円を超えるため所得税の確定申告が必要になります。
- 用意するもの:本業の源泉徴収票、副業の売上・経費の記録、控除証明書
- 注意点:副業所得が事業所得か雑所得かで扱いが変わる場合があるため、規模や継続性をふまえて区分を確認する
ケース2:フリーランス(Bさん) Bさんは個人で受託業務を行い、年間売上300万円、経費80万円とします。所得は220万円。事前に青色申告承認申請を出していれば、青色申告特別控除や各種控除を適用して所得税・住民税を計算します。
- 用意するもの:帳簿、請求書・領収書、社会保険料や保険料の控除証明書
- 注意点:国民健康保険・国民年金は社会保険料控除の対象。経費は家事按分の根拠を残しておく
ケース3:医療費控除を受ける会社員(Cさん) Cさんは年末調整済みだが、家族の医療費が年間18万円かかったとします。医療費控除はおおむね年10万円(または所得200万円未満は所得の5%)を超えた分が対象とされ、申告で所得税の一部が還付される可能性があります。
- 用意するもの:源泉徴収票、医療費の明細(医療費通知や領収書の集計)、振込口座
- 注意点:義務ではない還付申告のため期限に比較的余裕があるが、忘れないうちに早めに行うとよい
| ケース | 主な所得区分 | 申告の主目的 | 特に注意する点 |
|---|---|---|---|
| 副業会社員Aさん | 給与+事業/雑 | 副業所得の申告 | 所得20万円超の判定・区分 |
| フリーランスBさん | 事業所得 | 本業所得の申告 | 帳簿・経費・青色の要件 |
| 会社員Cさん | 給与所得 | 医療費控除の還付 | 明細書の作成・領収書保管 |
同じ「確定申告」でも、納税のための申告(AさんBさん)と、還付のための申告(Cさん)では、急ぎ度合いが異なります。納税が伴う申告は期限厳守、還付だけの申告は落ち着いて取り組む、と整理すると優先順位を付けやすくなります。
上記の金額・区分はあくまで一般的な例です。実際の所得区分の判定や控除の適用可否は、個々の事情や最新の税制によって変わります。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、税務署・税理士など専門家に相談したうえで申告することを強くおすすめします。
よくある質問
Q1. 確定申告はいつからいつまでにやればいいですか? A. 原則として、対象年の翌年2月16日から3月15日までです。土日の関係で期限が後ろにずれる年もあります。一方、医療費控除など還付を受けるためだけの申告は、翌年1月1日から5年間提出できるとされており、3月15日を過ぎても申告できる場合が多いです。
Q2. スマホだけで確定申告はできますか? A. はい、比較的シンプルなケースであればスマホだけで完結できます。マイナンバーカードとカード対応スマートフォンがあれば、e-Taxでそのまま提出まで可能です。給与所得+医療費控除やふるさと納税といったケースは、スマホ申告に向いているとされています。
Q3. 確定申告をしないとどうなりますか? A. 申告義務があるのにしなかった場合、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。納税額が大きいほどペナルティも増える傾向があるため、期限内の申告が安全です。義務があるか不明なときは、税務署や専門家に確認しましょう。
Q4. 副業の所得が20万円以下なら本当に何もしなくていいですか? A. いいえ、注意が必要です。所得税の確定申告は不要でも、住民税については申告が必要になるケースが一般的です。お住まいの市区町村での手続きが必要になる場合があるため、20万円以下でも「住民税はどうか」を確認することをおすすめします。
Q5. 申告内容を間違えたら修正できますか? A. はい、修正できます。税額を多く申告しすぎた場合は「更正の請求」、少なかった場合は「修正申告」で訂正します。誤りに早く気づいて自主的に対応するほど、ペナルティが軽くなる傾向があるとされています。気づいたら放置せず早めに手続きしましょう。
確定申告のやり方は「①対象確認 ②書類集め ③作成 ④提出 ⑤納税・還付」の5ステップです。鍵は、早めの書類準備と控除の取りこぼし防止、そして期限厳守。会計ソフトやe-Taxを活用すれば、初心者でも自宅で完結できます。まずは自分が対象かを確認し、必要書類のチェックリストづくりから始めましょう。
本記事は一般的な情報を分かりやすくまとめたものであり、個別の税額や手続きの可否を保証するものではありません。税制は改正されることがあり、適用要件は個々の状況によって異なります。最終的な判断にあたっては、国税庁の公式サイトや所轄の税務署、税理士など専門家にご相談ください。
最終確認日:2026年6月19日
