まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
- 配当所得税還付金・配当等課税還付金の正体と、入金される条件
- 配当金の税金20.315%の内訳と、20.315%が当てはまらない商品の一覧表
- 6問診断チャート:あなたは確定申告すべきか、しない方がよいか
- 配当控除695万円ラインの検算と、「還付されるのに損する」逆転条件
- NISAでも配当が課税される設定ミス(株式数比例配分方式)
- 初期設定・明細チェック7項目と、2027年の源泉徴収内訳の組み替え
配当所得税還付金とは?特定口座の年末自動計算で戻る過納分
- 年の途中で配当を受け取るたびに、20.315%が源泉徴収される
- 同じ年に株式等の売却損が出ると、証券会社が損失発生の都度または年末に1年分をまとめて損益通算する
- 通算の結果「配当にかかる税金は本来もっと少なかった」となった分が、還付として口座へ入金される
還付のタイミングは「年末の年間精算」だけとは限らない
| タイミング | いつ入金されるか | 明細での見え方 |
|---|---|---|
| 都度還付 | 売却損が発生し、口座内の源泉徴収税額が過納になった時点 | 年内に何度も少額の還付が並ぶ |
| 年間精算 | 年末の年間損益確定後、翌年の初回営業日ごろ | 1月に1本のまとまった入金として出る |
配当等課税還付金とは?表記が違うだけで中身は同じ
「配当等の所得税徴収高計算書 支払うべき金額」とは何が違うのか
| 用語 | 誰のための書類・項目か | 意味 |
|---|---|---|
| 配当所得税還付金/配当等課税還付金 | 配当を受け取る個人投資家 | 特定口座内の自動損益通算で戻ってきた源泉徴収税 |
| 配当等の所得税徴収高計算書「支払うべき金額」 | 配当を支払う法人(源泉徴収義務者) | その納付対象期間に支払いが確定した配当等の総額。ここから源泉徴収税額を計算して国に納付する |
それでも確定申告が必要になるケース
| 状況 | 自動還付 | 確定申告 |
|---|---|---|
| A証券の配当とA証券の売却損 | される | 不要 |
| A証券の配当とB証券の売却損 | されない | 必要(複数口座の通算) |
| 相殺しきれない損失を来年以降に使いたい | されない | 必要(繰越控除) |
| 一般口座・源泉徴収なし口座 | されない | 原則必要 |
証券口座・通帳の「謎ワード」辞典
| 明細の表記 | 何のお金か | いつ発生するか | 自分の手続き |
|---|---|---|---|
| 配当所得税還付金 | 特定口座内の配当と売却損の自動損益通算による還付 | 都度または翌年の初回営業日ごろ | 不要 |
| 配当等課税還付金 | 同上(表記違い) | 同上 | 不要 |
| (特定)配当等税額還付 | 同上(証券会社による名称違い) | 同上 | 不要 |
| 外国源泉徴収税 | 米国株配当などに現地で課された税金(米国は原則10%) | 配当受取時 | 取り戻すには外国税額控除の確定申告 |
| 普通分配金 | 投資信託の分配金のうち運用益部分。配当所得として課税 | 分配金受取時 | 原則不要 |
| 元本払戻金(特別分配金) | 投資信託の分配金のうち元本の払い戻し部分。非課税 | 分配金受取時 | 不要 |
| 分配時調整外国税相当額 | 投信・ETF等の二重課税調整で自動的に調整された外国税分 | 分配金受取時 | 不要(自動適用) |
配当金の税金とは?上場株式は受取時に20.315%が源泉徴収される

| 税金の種類 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 15% | 国税 |
| 復興特別所得税 | 0.315% | 所得税額の2.1%相当の付加税 |
| 住民税 | 5% | 地方税 |
| 合計 | 20.315% | 受取時に源泉徴収 |
【2027年1月】20.315%は据え置きのまま、内訳だけが組み替わる
| 期間 | 内訳 | 合計 |
|---|---|---|
| 現行(2026年時点) | 所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5% | 20.315% |
| 2027年1月以降(予定) | 所得税15% + 復興特別所得税0.165% + 防衛特別所得税0.15% + 住民税5% | 20.315%(変わらず) |
「20.315%」が当てはまらない商品もある
| 商品・口座 | 源泉徴収時の税率 | 配当控除 | 譲渡損との損益通算 | 配当10万円の手取り |
|---|---|---|---|---|
| 国内上場株・特定口座 | 20.315% | 可(総合課税時) | 可(申告分離時) | 79,685円 |
| 公募株式投信の普通分配金 | 20.315% | 可(率は半分の5%) | 可 | 79,685円 |
| 投信の元本払戻金(特別分配金) | 非課税 | — | — | 100,000円 |
| J-REITの分配金 | 20.315% | 不可 | 可 | 79,685円 |
| 米国株・特定口座 | 米10%+日20.315% | 不可(外国税額控除で調整) | 可 | 約71,720円 |
| 米国株・NISA | 米10%のみ | — | — | 90,000円 |
| NISA国内株(株式数比例配分方式) | 非課税 | — | — | 100,000円 |
| NISA国内株(配当金領収証方式) | 20.315% | — | — | 79,685円 |
| 非上場株・大口株主 | 20.42% | 可(総合課税のみ) | 不可 | 79,580円 |
【6問診断】あなたの配当金、確定申告すべき?
- NISA口座のみ → 原則非課税で、申告は不要です。ただし受取方式が「株式数比例配分方式」かどうかだけは必ず確認してください(後述)。→ 診断終了
- 特定口座(源泉徴収あり) → Q2へ
- 特定口座(源泉徴収なし)・一般口座 → 原則として確定申告が必要です。年間取引報告書または支払通知書を用意し、Q3も参考にどの課税方式で申告するか決めます。
- ある(同じ証券会社内で相殺しきれる) → 自動で損益通算され、配当所得税還付金として戻ります。追加の手続きは不要です。→ 診断終了
- ある(別の証券会社にまたがる/損失を繰り越したい) → 申告分離課税で確定申告します。必要書類は各社の特定口座年間取引報告書です。この場合、同じ口座の配当も併せて申告が必要になる点にご注意ください(申告不要制度は使えません)。→ Q5へ(所得への影響を確認)
- ない → Q3へ
- いいえ(695万円超) → 申告不要のままが基本です。総合課税にすると実質負担が20.315%を上回ります(次章で検算)。→ 診断終了
- はい → Q4へ
- J-REITの分配金が中心 → 配当控除が使えないため、総合課税のうまみがありません。申告不要が基本です。→ 診断終了
- 国内株・国内投信が中心 → Q5へ
- 国民健康保険に加入している → 要シミュレーションゾーンです。申告すると配当が国民健康保険料の所得割の算定基礎に加わるため、還付額より保険料増が大きくなる逆転が起こり得ます(次章で試算)。令和6年度から「住民税だけ申告不要」は選べません。
- 配偶者や親の扶養に入っている → 申告すると合計所得金額に配当が加算されます。令和7年分から扶養親族等の合計所得金額要件は58万円以下(改正前48万円以下)とされており、これを超えると扶養から外れます(国税庁)。
- 会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)で扶養にも入っていない → 配当で保険料は増えないため、総合課税+配当控除の価値が高い層です。→ Q6へ
- はい → 確定申告で外国税額控除を申請すると、現地で引かれた税金の一定額を取り戻せるとされています。申告しなければ戻りません。
- いいえ → 総合課税で申告します。必要書類は特定口座年間取引報告書(または支払通知書)と源泉徴収票です。
注意
このチャートは一般的な目安です。所得や世帯の状況によって結論が変わるため、判断に迷う場合は税務署の無料相談や税理士への相談をおすすめします。
配当控除は695万円が分岐点:実質税率を課税所得帯別に検算する
ステップ1:実質税率を計算する
- 所得税分 =(所得税率 − 配当控除10%)× 1.021(復興特別所得税)
- 住民税分 = 10% − 配当控除2.8% = 7.2%
| 課税所得帯 | 所得税率 | 所得税分 | 住民税分 | 実質税率 | 20.315%との差 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 〜195万円 | 5% | 0%(控除しきれない) | 7.2% | 7.2% | −13.1pt | ◎ 有利 |
| 〜330万円 | 10% | 0%(同上) | 7.2% | 7.2% | −13.1pt | ◎ 有利 |
| 〜695万円 | 20% | 10.21% | 7.2% | 17.41% | −2.9pt | ◎ 有利 |
| 〜900万円 | 23% | 13.27% | 7.2% | 20.47% | +0.2pt | △ ほぼ互角〜不利 |
| 〜1,800万円 | 33% | 23.48% | 7.2% | 30.68% | +10.4pt | × 不利 |
注意
表の「所得税率」は課税総所得金額に対する税率です。配当を総合課税で申告すると課税所得そのものが増えるため、配当を足した後にどの帯へ入るかで判定してください。帯の境目にいる人は、配当を加えたことで上の帯に移り、判定が反転することがあります。
ステップ2:実際にいくら戻るのかを試算する
| 項目 | 申告不要 | 総合課税 |
|---|---|---|
| 所得税分 | 45,945円(15.315%) | 30,630円 |
| 住民税分 | 15,000円(5%) | 21,600円 |
| 税負担合計 | 60,945円 | 45,900円 |
| 差引 | — | 約15,000円の還付 |
ステップ3:国民健康保険と扶養で逆転する条件
- 所得税・住民税の還付:+約15,000円
- 配当30万円が所得割の算定基礎に加わることによる保険料増:−約30,000円
- 差引:約15,000円のマイナス
| 加入している保険 | 配当を申告したときの保険料 | 判定への影響 |
|---|---|---|
| 国民健康保険(自営業・フリーランス等) | 配当所得が所得割の算定基礎に加算され増える | 還付額と保険料増を比較。逆転しやすい |
| 協会けんぽ・組合健保(会社員) | 標準報酬月額ベースのため配当では増えない | 695万円以下なら総合課税の価値が高い |
注意
上記は復興特別所得税を含む概算で、基礎控除等の個別事情は反映していません。国民健康保険料の料率・算定方法は自治体ごとに異なります。実際の申告前に国税庁の確定申告書等作成コーナーで試算し、保険料への影響は自治体窓口や専門家にご確認ください。
配当控除と損益通算は二者択一:3つの課税方式の正しい比較
| 課税方式 | 税負担 | 配当控除 | 損益通算 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 申告不要 | 20.315%(源泉のみ) | なし | なし | 課税所得695万円超・国保加入者・扶養内の人 |
| 総合課税 | 累進税率+住民税から配当控除を差引 | あり | なし | 課税所得695万円以下で国保・扶養の影響がない人 |
| 申告分離課税 | 20.315% | なし | あり | 売却損が出た年・損失を繰り越したい人 |
「住民税だけ申告不要」はもう使えない
NISAでも配当が課税される:株式数比例配分方式の落とし穴
- 売却益は受取方式に関係なく非課税 のため、「NISAなのに配当だけ課税されていた」状態に気づきにくい
- この設定は証券会社ごとではなく全証券会社の口座に共通で適用 される仕組みです。日本証券業協会によると受取方式は証券保管振替機構(ほふり)を通じて共通適用されるため、1社で変更すれば全社に反映される一方、1社で領収証方式にすると他社の分も影響を受けます
- 変更は配当基準日までに間に合わせる必要がある ため、権利確定月の直前に慌てて手続きしても、その回の配当には間に合わないことがあります
- 前掲の比較表のとおり、設定違いだけで配当10万円あたり年間20,315円の差になる
- 利用中の証券会社のサイトで「配当金受取方式」の現在の設定を確認する
- 「株式数比例配分方式」以外になっていれば変更を申し込む(オンラインで完結する会社が多い)
- 複数の証券会社を使っている場合も全社に一括適用されるため二重の手続きは不要。ただし反映時期は各社の案内を確認する
配当の税金で取りこぼさないための初期設定&明細チェック7項目
| # | 確認項目 | 確認場所 | 放置した場合の損失の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 配当金受取方式が「株式数比例配分方式」か | 証券会社サイトの「配当金受取方法」設定画面 | NISAの配当が課税される。配当10万円あたり20,315円 |
| 2 | 特定口座への「配当等の受入れ」がONか | 特定口座の「配当等受入」設定画面 | 売却損があっても自動通算されず、還付がゼロになる |
| 3 | 年間取引報告書の還付金欄を確認したか | 特定口座年間取引報告書/電子交付書面 | いくら戻ったか把握できず、申告要否の判断ができない |
| 4 | 売却損があるのに還付がゼロではないか | 同上+取引履歴 | 口座をまたぐ損失は申告しないと通算できない |
| 5 | 投信の分配金の内訳を区別しているか | 分配金の支払通知書 | 元本払戻金を利益と誤認し、実質の運用成績を見誤る |
| 6 | 外国資産の二重課税調整・外国税額控除の要否 | 分配金明細の「分配時調整外国税相当額」欄 | 米国株の現地10%は自動調整されず、申告しないと戻らない |
| 7 | 2027年1月以降の源泉徴収内訳の変更を把握したか | 明細・年間取引報告書の税額内訳 | 合計20.315%は不変。表記変更に驚かないため |
米国株・投資信託の税金:実効約28.3%と二重課税調整
| 保有の形 | 二重課税の調整方法 | 手続き |
|---|---|---|
| 米国株・海外ETFを直接保有(課税口座) | 外国税額控除 | 確定申告が必要 |
| 東証上場ETF・国内公募投信を経由 | 分配時調整外国税相当額(自動調整) | 不要 |
| NISA口座の米国株 | 調整できない | — |
2026年時点の最新動向:配当を受け取る個人が過去最多に
- 個人株主数が過去最高:東京証券取引所ほか3取引所が2026年7月2日に公表した2025年度株式分布状況調査によると、個人株主数(延べ)は9,198万人で前年度比839万人増、12年連続の増加で調査開始以来の過去最高とされています。個人の株式保有比率(金額ベース)は17.4%です
- 配当総額も過去最高圏:日本経済新聞の集計によると、上場企業の配当総額は2026年3月期に約20兆円と5年連続で過去最高、うち家計が受け取る分は約3.5兆円。2027年3月期は23兆円規模で6年連続の最高となる見通しと報じられています
- こどもNISAの新設:金融庁の令和8年度税制改正の資料(2025年12月26日)によると、つみたて投資枠の対象年齢が拡充され、2027年1月から0〜17歳も「未成年者特定累積投資勘定(未成年つみたて投資枠)」を利用可能となり、年間投資枠60万円・非課税保有限度額600万円とされています。子ども名義の口座で受け取る配当・分配金の課税関係にも関わります
- 源泉徴収の内訳変更:前述のとおり2027年1月から防衛特別所得税(基準所得税額の1%)が始まり、復興特別所得税が1.1%へ引き下げられます。合計20.315%は据え置きです
確定申告のやり方:3ステップと必要書類
- 1月中旬以降に証券会社から交付される特定口座年間取引報告書(一般口座や非上場株式の場合は支払通知書)を入手します。電子交付が主流のため、証券会社サイトの電子書面ページで確認してください
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーで源泉徴収票と報告書の内容を入力し、総合課税と申告分離課税の両方を試算して比較します
- 国民健康保険・扶養への影響を確認したうえで、2月16日〜3月15日(還付申告は1月から可)に提出します
関連記事
次に読むと、この記事の判断がしやすくなります。
よくある質問
Q1. 配当所得税還付金とは何ですか?申告は必要ですか?
Q2. 配当等課税還付金と配当所得税還付金は違うものですか?
Q3. 「配当等の所得税徴収高計算書」の支払うべき金額とは何ですか?
Q4. 配当金の税金20.315%の内訳を教えてください。
Q5. 配当金の確定申告が不要なのはどんな場合ですか?
Q6. 売却損を繰り越すために申告すると、配当も申告しないといけませんか?
Q7. 配当控除の695万円ラインとは何ですか?
Q8. NISAなのに配当金が課税されているのはなぜですか?
Q9. 確定申告で還付を受けると損をすることはありますか?
Q10. 投資信託の分配金にも20.315%かかりますか?
※本記事の内容は2026年9月1日時点の情報に基づいています。




