結論:新NISA成長投資枠の使い方は何から決めるべきですか?
- つみたて投資枠(年120万円)が埋まっているか確認する — 埋まっていないなら、成長投資枠より先にそちらを使う設計が管理しやすい形です
- 配当を受け取る予定があるか決める — 国内株の配当を非課税にするには、買う前に受取方式の設定が必要です
- 2027年以降も成長投資枠でしか買えないものかを確認する — 2027年からつみたて投資枠の対象商品が広がるため、住み分けの前提が変わります
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資枠 | 240万円(つみたて投資枠120万円との併用で年最大360万円) |
| 非課税保有限度額 | 1,200万円(総枠1,800万円の内数) |
| 対象商品 | 上場株式・投資信託・ETF・REIT(計2,738本※) |
| 対象外 | 整理・監理銘柄、信託期間20年未満・毎月分配型・デリバティブ型の一定の投信等 |
| 非課税になるもの | 売却益・配当・分配金(課税口座なら20.315%) |
※資産運用業協会「NISA成長投資枠の対象商品」一覧(2026年8月13日更新)を集計。非上場投資信託2,322本+上場投信353本+上場投資法人63本。
成長投資枠とつみたて投資枠の違いは?2027年で前提が変わります

| 比較項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税保有限度額 | 1,800万円まで(成長投資枠と合算) | 1,200万円まで |
| 対象商品 | 長期・積立・分散に適した一定の投信・ETF | 上場株式・投信・ETF・REIT(計2,738本) |
| 買い方 | 積立のみ | 積立・一括の両方 |
| 2025年の買付額 | 6兆2,349億円 | 12兆5,138億円 |
| 2025年に買付ゼロの口座 | 51.2% | 63.5% |
2027年1月からの変更点:住み分けの前提が変わります
- 指定株式指数に読売株価指数・JPXプライム150指数を追加
- 指定指数に連動しない公募株式投信の要件を「主に株式に投資するもの」→「主に株式又は公社債に投資するもの」に緩和 — 債券中心・バランス型がつみたて投資枠の対象になります
- 年齢要件を撤廃し0〜17歳も対象に(年間60万円・非課税保有限度額600万円、12歳以降は子の同意を得た場合に親権者等による払出しが可能)
- 定期売却サービスに限り手数料徴収を可能に
- NISAの10年経過時等の所在地確認措置を廃止
「債券中心・バランス型は成長投資枠でしか買えない」という現在の説明は、2027年以降は当てはまらなくなる見込みです。これから何年もかけて枠を埋める予定なら、この点を織り込んで商品を配分する必要があります。
【独自データ】あなたは使えていない側か、使い切る側か(年代別)
| 年代 | ①2025年に買付ゼロだった口座比率 | ②200万円超240万円以下まで使った口座比率 | ③新規買付に占める成長投資枠の比率 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 72.4% | 4.3% | 51.1% |
| 30代 | 64.5% | 10.3% | 56.9% |
| 40代 | 61.6% | 13.1% | 62.2% |
| 50代 | 60.6% | 14.7% | 65.8% |
| 60代 | 57.7% | 18.1% | 73.1% |
| 70代 | 61.3% | 17.1% | 84.1% |
| 80代以上 | 76.3% | — | 91.7% |
| 全年代 | 63.5% | 12.9% | 66.7% |
出典:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」2512.xlsxを集計。①は各年代の買付額ゼロ円口座数÷同年代の成長投資枠口座数、②は買付額200万円超240万円以下の口座数÷同、③は成長投資枠の買付額÷NISA全体の買付額。80代以上の②は該当区分の公表値から個別の算出を控えています。
この表の読み方
- ①が高い年代(20代72.4%・80代以上76.3%)に該当する場合:使えていないのが多数派です。金額を積み増すより、つみたて投資枠の自動積立を先に整えるほうが実行しやすい形といえます
- ②が高い年代(60代18.1%・70代17.1%)に該当する場合:まとまった資金を一括で入れる人が一定数います。ただし1,200万円の埋め方と復活ルールの理解が前提です
- ③が示すもの:年代が上がるほど成長投資枠の比率が高まります(20代51.1%→80代以上91.7%)。同じ「使い方」を全年代に当てはめるのは実態に合いません
使われていない理由も調査されています。日本証券業協会の調査(大和アセットマネジメント「投資信託・NISA白書2026」第3章収録)では、投資していない理由の最多は「もともと買い付けるつもりはなく、金融機関に薦められて開設した」28.7%、次いで「市場動向から投資時期を見極めている」19.0%、「投資する資金が確保できなかった」18.2%でした。
成長投資枠で何を買う?4問で決めるフローチャート
- いいえ → 成長投資枠より先にそこを埋める設計が基本とされています。クレカ積立は月10万円が上限で、年120万円のつみたて投資枠とちょうど一致します(出典:SBI証券FAQ/SBIホールディングス)。なお、成長投資枠を1年間まったく使っていない口座は63.5%(金融庁)で、埋まっていないのは例外ではありません
- はい → Q2へ
- はい → 2027年からそれらはつみたて投資枠で買える見込みです(出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」)。成長投資枠は、つみたて投資枠では買えない個別株・高配当株・ETF・REITのために取り置く配分が考えられます
- いいえ → Q3へ
- はい → 国内上場株式は、配当金受領方法を株式数比例配分方式に登録しないとNISA口座でも課税されます(出典:SBI証券FAQ)。また米国株の配当は現地源泉10%が課され、NISA口座では外国税額控除の適用を受けられないため取り戻せません(出典:楽天証券「外国税額控除」)。同じ表面利回りなら国内株のほうが手取りで有利になるケースがあります
- いいえ → つみたて投資枠と同じインデックス投信を成長投資枠でも買う形が管理しやすい選択肢です。実データ上も成長投資枠の買付の51.1%は投資信託です
- はい → 枠の復活は「翌年以降」「簿価(取得金額)分のみ」で、年間240万円の枠自体は復活しません(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト)。次章の計算例で確認してください
- いいえ → 長期保有の前提で問題ありません
成長投資枠240万円・1,200万円を使い切るには何年かかりますか?
| 年次 | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | 累計簿価 | 残り総枠(1,800万円-累計) | 残り成長投資枠(1,200万円-成長累計) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 240万円 | 120万円 | 360万円 | 1,440万円 | 960万円 |
| 2年目 | 240万円 | 120万円 | 720万円 | 1,080万円 | 720万円 |
| 3年目 | 240万円 | 120万円 | 1,080万円 | 720万円 | 480万円 |
| 4年目 | 240万円 | 120万円 | 1,440万円 | 360万円 | 240万円 |
| 5年目 | 240万円 | 120万円 | 1,800万円 | 0円 | 0円 |
| 年次 | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | 累計簿価 | 残り総枠 | 残り成長投資枠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 120万円 | 120万円 | 240万円 | 1,560万円 | 1,080万円 |
| 3年目 | 120万円 | 120万円 | 720万円 | 1,080万円 | 840万円 |
| 5年目 | 120万円 | 120万円 | 1,200万円 | 600万円 | 600万円 |
| 7年目 | 120万円 | 120万円 | 1,680万円 | 120万円 | 360万円 |
| 8年目 | 120万円 | 0円※ | 1,800万円 | 0円 | 240万円 |
※8年目に総枠1,800万円へ到達するため、この年に入れられるのは残り120万円分のみです。成長投資枠は1,200万円に満たない960万円で打ち止めになります。つみたて投資枠を毎年満額使う場合、成長投資枠の1,200万円は使い切れない点に注意が必要です。
| 年次 | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | 累計簿価 | 残り総枠 | 残り成長投資枠 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 60万円 | 120万円 | 180万円 | 1,620万円 | 1,140万円 |
| 5年目 | 60万円 | 120万円 | 900万円 | 900万円 | 900万円 |
| 10年目 | 60万円 | 0円※ | 1,800万円 | 0円 | 600万円 |
※このペースでも10年目に総枠が埋まり、成長投資枠は600万円分が未使用のまま残ります。
復活の落とし穴:600万円分を売っても、戻すのに最低3年
- 復活は翌年以降 — 売却した年には使えません
- 復活するのは簿価600万円分 — 値上がりして900万円で売れても、復活するのは取得金額の600万円分です
- 年間240万円が上限 — 翌年240万円、翌々年240万円、3年目120万円で、600万円を入れ直すのに最低3年かかります
「枠が復活するから短期売買しても大丈夫」という理解は、この3点で成立しません。売却は「お金が必要になったとき」を原則とするのが無難とされています。
成長投資枠の復活はいつ?配当が非課税にならないケースは?
成長投資枠の復活はいつですか
配当金が非課税にならない3つのケース
| ケース | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| 受取方式が株式数比例配分方式でない | 国内上場株式の配当がNISA口座でも課税される(出典:SBI証券FAQ) | 買付前・権利確定日前に証券会社の口座管理画面で変更する |
| 米国株の配当 | 現地源泉10%が課され、NISAでは外国税額控除の適用を受けられない(出典:楽天証券) | 現地課税分は取り戻せない前提で利回りを見積もる |
| 損失が出た場合 | 損益通算・繰越控除ができない | 値動きの大きい銘柄への集中を避ける |
- 想定:配当利回り4%の国内株を600万円分保有
- 年間配当:600万円 × 4% = 24万円
- 課税額:24万円 × 20.315% = 年約48,756円
損益通算については、課税口座なら利益30万円と損失30万円を相殺して税額0円にできますが、損失側がNISA口座だと相殺できず、利益30万円に約6.1万円が課税されます。NISAは利益が出たときに有利な制度で、損失を軽減する仕組みはない点にご注意ください。
買う前チェックリスト7項目
| ✓ | チェック項目 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| □ | ①つみたて投資枠(年120万円)を先に使う設計になっているか | 金融庁 NISA特設ウェブサイト |
| □ | ②配当金受取方式が「株式数比例配分方式」になっているか | SBI証券 FAQ |
| □ | ③買いたい商品が成長投資枠の対象2,738本に入っているか | 資産運用業協会 対象商品一覧(2026年8月13日) |
| □ | ④年間240万円・総枠1,800万円の残りを確認したか | 金融庁 NISA特設ウェブサイト |
| □ | ⑤売却しても枠が戻るのは「翌年」「簿価分のみ」と理解したか | 金融庁 NISA特設ウェブサイト |
| □ | ⑥損益通算・繰越控除ができない点を理解したか | 金融庁 NISA特設ウェブサイト |
| □ | ⑦2027年からつみたて投資枠で買える商品が広がる点を織り込んだか | 金融庁「令和8年度税制改正について」 |
やってはいけないNG対応4つ
- 「枠が戻る」前提の短期売買 — 復活は翌年・簿価分のみで、年間240万円は復活しません。600万円分を戻すのに最低3年かかります
- 毎月分配型の投資信託を探す — 毎月分配型は成長投資枠の対象外です(金融庁)。「毎月受け取れる商品」を探して対象外商品に行き着くのは典型的な遠回りです
- 値動きの大きい個別株への1銘柄集中 — 損益通算・繰越控除ができないため、大きな損失時には課税口座より不利になり得ます
- 生活防衛資金まで投資に回す — 値下がり時に売らざるを得なくなり、長期非課税の利点を手放すことにつながります。調査でも投資できない理由の18.2%は「資金が確保できなかった」でした
まとめ:位置づけを確認し、設定を済ませてから買う
よくある質問
Q1. 成長投資枠とつみたて投資枠の違いは何ですか?
Q2. 成長投資枠では何を買うのがよいですか?
Q3. 成長投資枠の240万円は使い切るべきですか?
Q4. 成長投資枠の復活はいつですか?
Q5. 成長投資枠の配当金が非課税にならないのはなぜですか?
Q6. 2027年の制度変更を待ってから始めるべきですか?
本記事は制度の一般的な解説であり、特定商品の推奨ではありません。個別の投資判断や税務の詳細は、金融機関の窓口、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家への相談をご検討ください。




