まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
年収の壁とは何ですか?【結論・定義】
- 税金の壁: 所得税や住民税がかかり始めるライン。超えた分にだけ課税されるため、影響は比較的緩やかです。
- 社会保険の壁: 勤務先の厚生年金・健康保険への加入義務が生じたり、家族の扶養から外れたりするライン。保険料負担が一度に発生するため、影響が大きいとされています。
仕組みをもう少し詳しく

税金の壁は「坂道」型
社会保険の壁は「崖」型
2025年の制度改正で何が変わったか
- 所得税の壁: 103万円 → 160万円(基礎控除の特例引き上げと給与所得控除の最低保障65万円化。国税庁・令和7年度税制改正)
- 配偶者特別控除の満額上限: 150万円 → 160万円
- 大学生年代(19〜22歳)の子: 親が満額の控除を受けられる上限が103万円 → 150万円(特定親族特別控除の新設)
- 年金制度改正法(2025年6月成立)により、106万円の壁の賃金要件(月8.8万円)の撤廃と、企業規模要件の段階的撤廃が決定
補足
住民税の非課税ラインも給与収入でおおむね110万円前後(自治体により異なる)へ引き上げられたとされています。均等割のみ発生する水準など自治体差があるため、正確にはお住まいの市区町村の情報をご確認ください。
なぜ年収の壁が重要なのか?【背景】
種類・分類: 6つの壁を一覧で整理
| 壁の金額 | 種類 | 超えるとどうなるか |
|---|---|---|
| 約110万円 | 住民税 | 住民税が課税され始める(自治体により約103万〜110万円と幅がある) |
| 106万円 | 社会保険 | 勤務先の厚生年金・健康保険に加入(従業員51人以上などの要件あり) |
| 130万円 | 社会保険 | 家族の社会保険の扶養から外れ、自分で保険に加入する必要が生じる |
| 150万円 | 税金 | 大学生年代(19〜22歳)の子の場合、親の特定親族特別控除の満額上限 |
| 160万円 | 税金 | 本人に所得税が発生。配偶者特別控除の満額もここまで |
| 約201万円 | 税金 | 配偶者特別控除が段階的に縮小しゼロになる(正確には201.6万円) |
106万円の壁の適用条件
- 従業員(厚生年金の被保険者数)51人以上の企業に勤務している
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円)
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない
注意
130万円の壁は勤務先の規模にかかわらず全員が対象です。判定は「今後1年間の収入見込み」で行われ、通勤手当も含めて計算されるのが一般的とされています。
メリットを詳しく: 壁を越えて働く利点
厚生年金で将来の年金が増える
健康保険の給付が手厚くなる
保険料は会社と折半
デメリット・注意点
手取りの逆転現象(いわゆる働き損ゾーン)
通勤手当・残業代の扱いに注意
会社の家族手当が打ち切られる場合がある
注意
2023年開始の「年収の壁・支援強化パッケージ」による130万円の壁の特例(一時的な収入増でも事業主の証明により扶養に留まれる措置)は時限的な取り扱いとされています。利用を前提にする場合は、厚生労働省の最新情報を必ず確認してください。
具体例・ケースで理解する
ケース1: 従業員51人以上の企業で働くパート(年収108万円)
ケース2: 従業員50人以下の企業で働くパート(年収135万円)
ケース3: 大学生アルバイト(20歳・年収140万円)
自分に関係する壁はどう確認する?【始め方・使い方】
- 勤務先の従業員数を確認する: 厚生年金の被保険者数が51人以上なら106万円の壁、50人以下なら130万円の壁が主な基準になります。
- 週の所定労働時間を確認する: 20時間以上か未満かで社会保険の加入義務が変わります。雇用契約書で確認しましょう。
- 年収見込みを通勤手当込みで計算する: 社会保険の判定は交通費込みの見込み額です。残業代や賞与も含めて試算します。
- 家族手当の支給基準を確認する: 配偶者の勤務先の就業規則で、手当の条件(103万円・130万円など)を確認します。
- 世帯の手取りをシミュレーションする: 厚生労働省の「年収の壁」特設サイトや自治体窓口、勤務先の労務担当に相談し、壁を越える場合と越えない場合の手取りを比較します。
似た用語との違い
収入と所得の違い
税法上の扶養と社会保険上の扶養の違い
| 項目 | 税法上の扶養 | 社会保険上の扶養 |
|---|---|---|
| 主な基準 | 給与収入123万円以下(配偶者は160万円まで特別控除が満額) | 年収130万円未満の見込み |
| 判定期間 | その年の1〜12月の実績 | 今後1年間の見込み |
| 通勤手当 | 含めない(非課税分) | 含めるのが一般的 |
| 超えた場合 | 世帯の税負担が緩やかに増える | 保険料負担が一度に発生する |
配偶者控除と配偶者特別控除の違い
補足
「扶養内で働く」という言葉は、税の扶養か社会保険の扶養かで意味が変わります。求人票や会話でこの言葉を見たら、どちらを指しているのか確認する習慣をつけると誤解を防げます。
まとめ: 壁は「知って選ぶ」時代へ
よくある質問
年収の壁は2025年の改正でなくなったのですか?
交通費(通勤手当)は年収の壁に含まれますか?
106万円と130万円、どちらの壁を意識すべきですか?
壁を越えるなら、いくらまで働けば手取りが回復しますか?
副業収入がある場合はどうなりますか?
注意
本記事は2026年7月時点の公的情報(国税庁・厚生労働省・日本年金機構)に基づく一般的な解説であり、個別の税額・保険料を保証するものではありません。具体的な判断は、税理士・社会保険労務士などの専門家や、お住まいの自治体・年金事務所にご相談ください。
最終確認日: 2026年7月16日




