まな先生解説
こころ質問
すい要点整理
結論:生前贈与でまずやるべき3つのこと
- 贈与契約書を毎回作成する:贈与のたびに日付・金額・当事者を明記し、双方が署名押印します。
- 現金手渡しではなく銀行振込にする:通帳に記録が残り、日付と金額を第三者が確認できます。
- 受贈者(もらう側)が口座・通帳・印鑑を管理する:もらった人が自由に使える状態であることが、贈与成立の重要な要素とされています。
生前贈与が失敗する主な原因を深掘り

| # | 落とし穴 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 1 | 名義預金 | 子ども名義でも親の財産とみなされ相続税の対象に |
| 2 | 定期贈与の認定 | 「毎年100万円×10年」が総額1,000万円の一括贈与として課税される可能性 |
| 3 | 生前贈与加算(最長7年) | 相続開始前7年以内の贈与が相続財産に足し戻される |
| 4 | 申告漏れ | 無申告加算税や延滞税などのペナルティ |
| 5 | 不動産贈与のコスト | 相続に比べて登録免許税・不動産取得税が重い |
| 6 | 遺留分トラブル | 特定の子への贈与が他の相続人からの請求対象になり得る |
| 7 | 老後資金の枯渇 | 贈与しすぎて贈与者本人の生活が苦しくなる |
注意
「亡くなる直前に急いで贈与する」方法は、改正後はほとんど節税効果がなくなるケースが多いとされています。生前贈与は時間を味方につける対策と考えるのが安全です。
原因別の見分け方
| 気になる状況 | 疑われる問題 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 通帳・印鑑を親が保管している | 名義預金 | 受贈者が自由に引き出せる状態か |
| 受贈者が贈与の事実を知らない | 名義預金 | 贈与契約書に受贈者の署名があるか |
| 毎年同じ日に同額を振込 | 定期贈与 | 毎回個別に契約書を作成しているか |
| 「10年で1,000万円あげる」と口約束 | 定期贈与 | 総額を先に約束していないか |
| 贈与者が高齢・闘病中 | 生前贈与加算 | 相続開始前7年に該当し得るか |
| 110万円超をもらったのに未申告 | 申告漏れ | 翌年3月15日までに申告したか |
補足
税務署が名義預金かどうかを判断する際は、資金の出どころ・口座の管理状況・利益を受けている人・受贈者本人の認識などを総合的に見るとされています。形式よりも実質が重視されます。
具体的な解決方法:正しい生前贈与の5ステップ
- 財産全体と目的を把握する:まず贈与者の財産総額を概算し、相続税がかかるかを確認します。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、これを下回る見込みなら急いで贈与する必要性は低い場合があります。
- 課税方式を選ぶ:暦年課税か相続時精算課税かを選択します(下表参照)。
- 贈与契約書を作成する:贈与日・当事者・金額・方法を記載し、双方が署名押印します。受贈者が未成年の場合は親権者が法定代理人として署名します。
- 銀行振込で実行し、受贈者が管理する:記録を残し、通帳・キャッシュカードは受贈者本人が保管します。
- 110万円を超えたら申告する:贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日に、受贈者が贈与税の申告・納税を行います。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 非課税枠 | 年110万円(基礎控除) | 累計2,500万円+年110万円(2024年〜) |
| 相続時の加算 | 相続開始前7年分(段階的に延長) | 基礎控除を超えた分を全額加算 |
| 年110万円以下の扱い | 7年以内なら加算対象 | 加算されず申告も不要とされています |
| 方式の変更 | 精算課税へ変更可 | 一度選ぶと暦年課税に戻れない |
| 向いている人 | 長期間コツコツ贈与したい人 | 高齢の親からまとまった額を早く移したい人 |
ケース別の対処法
| コスト | 生前贈与 | 相続 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の2.0% | 0.4% |
| 不動産取得税 | 原則3〜4%課税 | 非課税 |
注意
すでに名義預金の疑いがある口座を見つけた場合、慌てて引き出したり名義を変えたりせず、贈与契約書を作成して改めて贈与し直すか、相続財産として扱う前提で税理士に相談する対応が一般的です。
予防・再発防止のコツ
- 贈与セットをテンプレート化する:契約書のひな形作成→署名押印→振込→ファイリングを毎年同じ手順で行い、証拠書類を1つのファイルにまとめて保管します。
- 家族で共有する:受贈者本人が贈与を認識していることは贈与成立の前提です。家族会議の記録やメッセージ履歴も間接的な証拠になり得ます。
- 相続税の試算を数年ごとに更新する:財産額や家族構成が変われば、最適な贈与額や方式も変わります。
- あえて111万円を贈与して申告する方法:少額の贈与税(1,000円)を納めて申告実績を残すやり方も紹介されますが、申告よりも贈与の実態(契約書と振込)が本質であり、申告だけでは名義預金の反証にならないとされています。
- 贈与者の生活資金を最優先する:介護費用は1人あたり総額500万円前後かかるとも言われており、老後資金を確保した上で余裕資金から贈与します。
専門家・公的情報の見解
贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。(国税庁タックスアンサーNo.4402・No.4408の内容を要約)
補足
税制は毎年の税制改正で変わります。この記事の内容も、実行前に国税庁サイトまたは税理士への確認をおすすめします。
やってはいけないNG対応
- 子ども名義の口座に黙って積み立てる:名義預金の典型例で、相続時にまとめて課税される代表的なパターンです。
- 「毎年110万円を10年間あげる」と最初に契約する:定期贈与とみなされ、初年度に総額へ課税されるリスクがあるとされています。
- 現金手渡しで記録を残さない:贈与の立証が困難になり、税務調査で不利に働きやすいとされています。
- 110万円超の贈与を申告しない:無申告加算税(原則15〜20%)や延滞税、仮装・隠蔽と判断された場合は重加算税(最大40%)の対象になり得ます。
- 深く検討せず相続時精算課税を選ぶ:一度選択すると、同じ贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。
- 税務署からの「お尋ね」を放置する:回答しないと実地調査に発展しやすいとされています。事実関係を整理し、必要に応じて税理士に対応を依頼します。
注意
生前贈与はやり直しがききません。「もらう側の口座にお金を移すだけ」の自己流対策は、かえって課税リスクを高めることがあるため、金額が大きい場合は実行前の専門家相談が安全とされています。
まとめ:小さく・早く・記録を残して始める
よくある質問
注意
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。
最終確認日:2026年7月11日




